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ウィーンには今までに沢山の日本人が勉強に訪れました。
今ではウィーンが第二の故郷といって、はばからない人たちが沢山います。そんな方たちが語るウィーンの四方山話です。まだ一度もウィーンに行かれた事の無い方にはバイブルに、一度でもウィーンを訪れた方なら、そうそうと、うなずかれる事ばかりです。ウィーン望郷とタイトルが書いてありますが、オーストリア各地の話題をお送りいたします。

ウィーン望郷 神田 真吾 編
Nr.1 神田 真吾
Nr.2 大林 万希子
Nr.3 野澤 孝彦
Nr.4 飯田 章


オーストリア国家公認料理マイスター、神田真吾は現在、赤坂においてレストラン・KuK(カー・ウント・カー )というオーストリア料理店を開いている。そんな彼が綴ったウィーン紀行です。一度は彼のレストランでウィーン料理を堪能してみてはいかがだろうか。
■港区赤坂1-4-6   Tel. 03-3582-6622
■営業時間 : ランチ:水木金のみ11:30~14:00(L.O.)、ディナー:月~土17:30~21:30(L.O.)
■定休日 Close: 日祝  要予約

ウィーンでのクリスマス

ウィーンでのクリスマス

秋から冬にかけてのウィーンの季節は、日本の季節の変わり目より数倍早く、リンク沿いの並木が紅葉しかけたと思うと、その並木の下には除雪車によって、寄せられた雪が積もれていたりもする。
町並みには、長い毛皮を着たご婦人が現れ、葉巻を吹かしながらゆっくりと白い息を吐きながら人ごみの中を歩く紳士。こんな風景が、この時期のウィーンの思い出にもなっている。そんな中、半年前に決まったクリスマスメニューにも、最終的な試作が何回も行われ、キッチンでのミーティングも会を重ねるにつれ、緊張感が沸いてくる。インペリアルのクリスマスメニューは、かなりの高額で、良い材料も無論使っ
ているが、何よりインペリアルでのこの日、食事をすることに意味があるのである。
大理石とロブマイヤーのシャンデリアで飾られた部屋には、オーストリア独特のカラフルな飾りが四方八方に行き渡り、近くにいても針葉樹の香り漂ってくるもみの木には、シンプルに白い光だけが輝いている、そんな中での家族との食事。
そのような大事な食事を作る僕らは、仕込みにいつも最低一週間をかけていた。人数も250から多いときには400をこえて、キッチンでの最大使用限度を超えるときもあった。インペリアルには、地下にインペリアルトルテを作る場所があり、その膨大な場所を使っての仕込みや、盛り付けが行われる。そしていよいよ12月24日は一日かけてこのような作業に行われるのである。

日本でのお正月

日本でのお正月

帰ってきてから何年振りでしょうか・・・。
ウィーンで先日も知人と話していましたら、寒波到来でかなりの冷え込みに見舞われたようでした。
ウィーンでの忙しいクリスマスも終え、日本でしたら「正月休み」も考えられますが、ここは別。大晦日は「シルベスター」と呼ばれまたまたクリスマスと同様の忙しさが、僕らには訪れます。新年を迎える前に、知人や家族でレストランにでかけて食事を楽しむ。そして新年を迎えて、ウィーンフィルによるニューイヤーコンサートを聴く。僕にとってこんなに贅沢な新年を迎えるのは、本当に夢のようでした。しかし、キッチン内はその反面、総動員でこの日々を迎えます。31日の夜は500名のコースを作り、1日はその半分の約250名のコースを作ります。特に決まったメニュー内容はありませんでしたが、使う材料はどれも一級品。それに伴いお客様もやはりいい食事には良いお酒と言うことで、みなさんよくシャンパンをお飲みになっていました。この時期は、トリュフを使ったお料理も顔を見せ、それに伴いフォワグラやキャビアと言ったフランス料理に顔を出す食材も使っていました。忘れられなかったのが、黒トリュフでなんと800g以上もある大きなものが入ってきました。宣伝もかねてホテルで買ったものでしたが、さすがにこの時は新聞者も着て驚いた様子。
香りは思ったほど強くはなかったですが、使う醍醐味は本当にすばらしいものがありました。ウィーンの年明けは、いつも何らかの驚きがいつもありました。